「不妊治療と仕事の両立って、どれくらいの人ができているんだろう…?」
私自身が治療を始めたとき、最初に気になったのは「他の人はどうしているのか」でした。
でも、なかなか聞けないし、調べてもリアルな声が見つからない。
実際に経験してわかったのは、“両立できている人”は思っている以上に少ないという現実です。
この記事では、不妊治療と仕事の両立に関する国の調査データや、働く人の声をもとに、
「どれくらいの人が両立できているのか」「何が両立を難しくしているのか」を掘り下げていきます。
同じように悩む方の参考になりますように。
不妊治療と仕事の両立は、想像以上に難しい現実
「不妊治療」と聞いても、まだどこか遠い話に感じている方もいるかもしれません。
でも実は、不妊に悩んだ経験のあるご夫婦は、3組に1組以上もいると言われています。

国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障・人口問題基本調査」によると、
- 不妊を心配したことのある夫婦:約39.2%(3組に1組以上)
- 実際に不妊検査や治療を受けた経験がある夫婦:約22.7%(4.4組に1組)
という結果が出ています。しかも、これは年々増加傾向にあるそうです。
「仕事との両立が難しい」現実も明らかに
厚労省が発行している『不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック』では、実際に治療を経験・予定している労働者の声が集められています。
その中で興味深いデータがこちら:
- 「仕事と両立している(していた)・考えている」:55.3%
- 「両立できなかった・できない」:26.1%
- 働いてなかった:18.7%
さらに、その「両立できなかった・できない」の内訳を見てみると…
両立ができなかった・できないの内訳 | 割合 |
仕事を辞めた | 10.9% |
不妊治療を断念した | 7.8% |
雇用形態を変更した | 7.4% |
つまり、3〜4人に1人は“仕事”か“治療”のどちらかをあきらめる決断をしているという現実があります。私自身も、不妊治療をきっかけに働き方を変えた一人です。
仕事と治療の両立が難しい理由
不妊治療について「仕事との両立ができなかった(または両立できない)」と回答した方の理由として多くあがっていたのは以下です。
🕒仕事の日程調整が難しい
😓精神面で負担が大きい
💊体調、体力面で負担が大きい
私の場合も、実体験から特に仕事と通院との両立が大きなハードルでした。体外受精に進んだ時期は月に5回以上通院が必要で、スケジュールは直前まで確定できません。仕事の予定と重なることも多く、職場との調整が常に課題でした。
「有休だけでは足りない」「職場に迷惑はかけられない」「治療がうまくいかない焦り」など、物理的な負担と精神的なストレスが重なり、心が折れそうになりました。
両立の難しさは“環境”と“治療のステージ”で変わる
しかし、実際の現場では「どんな職場環境か」「どんな治療フェーズか」によって、感じる大変さは全く異なります。
私の実感として、両立できるかどうかは以下の2点に左右される思います。
- 職場環境の柔軟性(中抜けや勤務時間の調整がしやすいか)
- 治療ステージ(タイミング法/人工授精/体外受精など)
同じ「不妊治療」と言っても、治療内容や通院頻度は人によって大きく異なります。
また、不妊治療を行っている社員が受けられる支援の実施状況についても企業により異なります。
※制度化された支援を行っている企業は10%程度というデータ(出典:厚生労働省「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」)も出ています。
だからこそ、「どうしても両立できない自分はダメだ」と思わないでほしいです。
あなたに合った両立の形を見つけてほしい
不妊治療と仕事の両立は、決して簡単なことではありません。制度が整っていない職場も多く、無理をしてしまう人も少なくないと思います。
当時は、私も職場への相談もできず、治療も進まない事で不安ばかりがつのり、どちらか諦める必要性についても悩みましたが、そんな時に同じように両立に悩んでいる方の記事などを見て、私だけじゃないんだと思えた事で、気持ちが楽になった事があります。
この記事が、今まさに悩んでいる方にとって「自分だけじゃないんだ」と思えるきっかけになれば嬉しいです。