【実体験】なぜ仕事と不妊治療の両立は難しい?実際の治療スケジュールから見える課題

不妊治療と仕事の両立 妊活

仕事と家庭や子どもについて、どちらも頑張りたい——。
でも実際には、3人に1人がどちらかをあきらめる選択をしているという調査結果もあります。

私も治療をしながら働いていたひとりですが、やってみて初めて分かったのは、
「両立は、自分の努力だけじゃ乗り越えられない」という事実でした。

この記事では、実際の治療スケジュールや仕事との両立で感じた実体験をもとに、「なぜ多くの人が両立できずに悩むのか」そして「職場のサポートで変わったこと」などを紹介しています。
現在、治療中の方や、周囲にサポートしたい人がいる方のヒントになれば幸いです。

不妊治療と仕事の両立が難しい理由は?

はじめに、過去記事でも国の調査結果を参考に紹介していますので、こちらもご覧ください。

以下は、私自身の実体験から難しいと感じた事を3つあげています。

  1. 仕事の日程調整が難しい
    • 通院回数が多い/通院日は直前まで確定できない
    • 待ち時間が長い、治療により通院に半日、または1日程度の時間を要する
  2. 精神面で負担が大きい
    • 通院しても子どもが出来るとは限らず終わりが見えない
    • 長期化すると経済面の負担も大きくなる
    • 仕事のストレスが不妊治療に影響して悪循環になる事もある
  3. 職場環境のハードル
    • 柔軟が働き方ができる環境か
    • 上司や同僚の理解は得られるか
    • 長時間労働が続くと、治療そのものに集中できなくなる

大きくは上記の3つになりますが、1つずつもう少し詳しく書きます。

仕事の日程調整が難しい(通院スケジュールからみる現実)

私の場合は治療と仕事の両立を考えた時に一番大きなハードルとなったのは通院でした。治療内容にもよりますが「不妊治療、どこから始める?」で書いた最初のステップであるタイミング法も含め、不妊治療は、排卵周期や体調に合わせて進むため、通院日は直前まで確定できません。

  • 「次は明後日の午前中に来てください」
  • 「今週中にもう一度検査が必要です」

といった突然の通院指示も日常茶飯事です。

ここでは、私が実際に体外受精で採卵を行ったときの通院スケジュールを参考に、どれくらいの頻度で通う必要があったかをまとめます。

通院例:1ヶ月に5回の通院+毎日の自己注射

この月は、3日・11日・13日・16日・26日の5日間が通院日でした。

採卵日(この例では16日)は、11日の診察で仮決定 → 13日に再診で確定。
通院日の2日前になると、クリニックの予約が希望時間で取れないことも多い。
※1回の通院でかかる時間は平均2〜3時間、採卵や移植のある日は半日がかりです。

この通院機会を逃すと、次はまた1ヶ月後。だからこそ、1回の遅れが大きな痛手に…

💊通院とは別に、自宅での自己注射や内服薬の管理も必要
注射は決まった時間に打つ必要があり、朝・夜のスケジュールも縛られます

❗このスケジュールに“仕事を合わせる”という現実

  • 商談や外部打合せがある日は通院調整が難しい
  • 直近3営業日中、2日間も中抜け、ないし早上がりなどが発生
  • 有給だけでは足りず、「このままでは治療が続けられない」と感じたことも

正直、これを働きながら続けるのは「無理ゲー」に近いと感じる瞬間が何度もありました。

病院に事情を話して何とか就業時間後の予約を調整をしてもらう事もありましたが、他の患者さんも同じ状況なので調整できるケースは稀で自分で仕事の調整が出来ないと治療は進みません。

残業せずに退勤したとしても1回の通院に必要な時間(2〜3時間)を考えると、職場環境や家庭環境により通院はより現実的ではなくなります。

過去の記事で3人に1人は、治療か仕事をあきらめたという調査結果もありましたがその理由に通院回数等をあげる回答も多く私も経験から「通院できる環境」は大きな要素だと思います。

精神面で負担が大きい(治療内容ごとのメンタル変化)

不妊治療は、始めたからといって必ず子どもが授かるわけではありません。

  • 1年で授かる人もいれば、10年続けても叶わないことも
  • 治療を続けながらも原因が分からないまま「可能性」にかけ続けるケースもあります
  • 年間60〜70万円という高額な費用がかかる中、月に5回前後の通院を何年も継続する負担

…これらが積み重なると、心のエネルギーが少しずつ削られていくのを感じます。

私自身、実際に通っていた時期に感じた“精神的な負担”は以下のようなものでした。

治療内容ごとのメンタル負担の例

タイミング法
 └ パートナーへの伝え方に気を使う/プレッシャーで関係がぎくしゃく
 └ タイミングが取れないと通院が無駄に終わったように感じ、気持ちが沈む

体外受精・顕微授精
 └ 採卵後の出社がきつい/移植できる胚盤胞ができなかったときの絶望感
 └ 移植後に妊娠に至らず、また採卵からやり直すことになったときの落胆
 └ 通院のたびに職場へ気を遣い、積もっていく罪悪感

その他の検査や治療
 └ 痛みを伴う検査に向かうだけでも心が重い
 └ 日々の自己注射や投薬に家族からも心配の声、、

治療の長期化により、「結果が出ないことへの焦り」「時間だけが過ぎていくことへの不安」「費用やキャリアの迷い」など、さまざまな感情が複雑に絡み合い、冷静さを保つのが難しくなる瞬間もありました。

私は一度、治療をお休みしたことで気持ちを整理する時間が取れ、結果として再スタートを切ることができましたが、もしそのまま突き進んでいたら、治療・仕事・子ども…どれかを諦めていたかもしれません。

職場環境(働きやすい環境とサポートする企業側の難しさ)

不妊治療を続けるうえで、体調、体力面での負担も両立に向け重要な要素となりますが、私の実体験から多くは職場の理解や柔軟性があるかどうかで大きく変わると感じます。特に責任感の強い人ほど、「仕事も完璧にこなさなければ」と無理をしてしまったり「通院で迷惑をかけているのでは…」と職場に対して後ろめたさを感じがちです。

一方で、治療費や将来の生活も考えると、簡単に仕事を辞めたり抑えたりするわけにもいきません。治療に専念するために退職したり、雇用形態を変える方もいますが、不妊治療には“確実な成果”がないため、長く結果が出なければキャリアへのブランクが大きく響くこともあります。

特に「仕事が好きな方」や「仕事で大きな役割を担っている方」ほど、治療に専念するという選択は難しく感じるのではないでしょうか。

企業側にとっての難しさもある

産前産後や育児のように、経験者も多く見通しの立つライフイベントとは違い、不妊治療は「いつ終わるか分からない」という特性があります。

  • 3ヶ月後には子どもができているかもしれない
  • でもこの先数年間できないかもしれない

そんな見込みの立たなさがあるため、企業としても「大きな役割を任せづらい」と感じるケースも少なくありません。

私自身も一時治療をあきらめて仕事を優先していましたが、幸い職場を変えてからは所属部署の上司や同僚も育児と両立して仕事をしている方が多く中抜けや業務時間の調整は全体的に寛容だった事や周りの社員も自由に有給を利用しており気を使わずに活用できた事、また通院もその決まりの範囲内で調整が出来そうだった事もあり、治療を再開することができました。

当時の職場環境には、とても感謝しています。ただこういった働き方ができる環境はまだまだ少ないと感じています。
そこで今回は、皆さんからも体験談を募集したいと思っています。

あなたの声を聞かせてください

この記事では「不妊治療と仕事の両立が難しい理由」について、私自身の経験をもとにまとめましたが、同じように悩んでいる方は、きっとたくさんいらっしゃると思います。

このブログでは、みなさんの体験や想いの声も集めて、「私だけじゃなかった」と思える場を少しずつ育てていきたいと思っています。

✔︎ 両立の中で感じたこと
✔︎ 大変だったこと
✔︎ 支えになった言葉や環境

など、どんな小さなことでも大丈夫です。
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昔に比べて、リモートワーク、フレックスタイム制度など柔軟な働き方ができる会社も少しずつ増えてきたように思いますが、ぜひその実態についてもお話しできることを、ぜひお聞かせください。

ご希望があれば、記事内でのご紹介や今後のテーマ設計に活用させていただきます。仕事と子供、どちらも諦めない選択ができる環境が増えるように、私自身の実体験とあわせて体験者の声を発信していけたらと考えています。

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