一般的に、不妊は「妊娠を望む健康な男女が避妊せずに1年間妊娠しない状態」と定義されており、そのタイミングで不妊治療を検討し始める方も多いです。私もその1人でしたが、当時は治療について何から始めればよいか分からず悩んでいました。治療の方針は状況やクリニックによって異なりますが、これから治療を考えている方の参考になればと思い、私の経験を共有したいと思います。
婦人科や不妊治療のクリニック受診のタイミング
まず最初に、婦人科や不妊治療のクリニックを受診するタイミングについて皆さんはどうお考えでしょうか。私の考えでは、そのタイミングは「子どもが欲しい」と思ったときです。不妊かどうかにかかわらず、妊活の一環として基本的な「スクリーニング検査」を受けることをお勧めします。
しかし、「日本の不妊治療:妊娠まで平均6.4年」でも書いたように、実際は妊娠を意識してから病院を受診するまでにはハードルがあり、私も1年間は自己流で妊活を続けていました。不妊や治療の知識が少なく、周期も順調だったため問題ないと思い、通院をためらっていました。
診察を受けても不妊の要因は見つからず、医師からも「適切なタイミングで妊娠できる可能性がある」と言われたため、通院の必要性に迷い、治療を始めるまでに時間がかかりました(その理由には夫婦間の話し合いや費用の準備も含まれます)。
私の周りにも同じような状況の方がいますが、年齢や不妊期間、費用などの状況によって、妊活や不妊治療の進め方は異なると思います。私自身がどのように治療を進め、なぜそのタイミングで治療を希望したのか、当時の経験を振り返ってみました。
一般的な不妊治療のステップは?
不妊治療には、①タイミング法、②人工授精、③体外受精、④顕微授精のステップがあり、通常この順で進められます。初めてクリニックを受診する際は、適切な治療法を判断するために「不妊スクリーニング検査」や医師の診察を受けますが、私の場合も含め、初回で原因が分からないことが多いです。
一般的な検査項目に問題がなければ、タイミング法から試す方が多く、私もまずはタイミング法から始めました。(タイミング法は殆ど自然妊娠と変わりませんし費用負担も自費検査を合わせても2〜3万前後です。)
その後、私の場合はパートナーとのタイミングが合わず、性行為が難しい状況だったため、次のステップである人工授精や体外受精も検討しました。もし性行為の難しさで悩んでいる方には、人工授精への早めのステップアップも選択肢として良いかもしれません。
我が家では「子どもを持つかどうか」について意見の違いが生じ、一時的に治療を中断しました。知識が乏しかった当時、性行為が難しい状況に私も戸惑い、パートナーにプレッシャーをかけてしまいました。しかし今思えば、プレッシャーで性行為が難しくなるのは珍しいことではなく、当時パートナーを責めても何も解決しなかったと思います。
パートナーが子どもに対して否定的でなければ、夫婦関係を良好に保つためにも、合理的な方法を検討する方が良いと思います。
人工授精と体外受精の違い
人工授精と体外受精の違いについても触れておきます。人工授精では、医師が精子を子宮内に注入するまでがサポート範囲で、その後の受精や着床は自然に任せる形になります。
一方、体外受精や顕微授精では、精子と卵子が確実に出会い受精するように医師がサポートし、さらに受精卵の状態を確認しながら進めるため、妊娠確率は高くなり、不妊の原因を特定しやすくもなります。(ただし、まだまだ原因が特定できないケースも多いのですが、、)
妊娠の確率
各治療ごとの妊娠確率についてはクリニックによっても異なりますが、そもそも健康で若い(20代)男女が避妊をせずに適切なタイミングで性行為をした場合に、1周期(生理周期※約1ヶ月)で妊娠に至る確率は平均25〜30%程度と言われています。
という事は何の問題もない若い夫婦の場合でさえ妊娠に必要な期間の目安は4〜5周期前後となり、これは女性が35歳を超えると平均10%程度にまで下がるのです(35歳で18%)※1。年齢は治療方針が変わる大きな要因の1つとなりますが、①タイミング法②人工授精を選択する場合はほぼ自然妊娠と変わらない期間は目安として覚悟しておく事が必要です。私は実体験から妊娠を期待して妊娠しない周期が増えると精神的に落ち込んでしまったり夫婦仲が悪くなる原因になる事もあったため、①②を一定期間試して妊娠しないようであれば早い段階で次のステップに進む方がいいのではないかと思っています。
※1 参考:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition
不妊期間が長い方やタイミング法等を試してみた事がある方などは、年齢にもよりますが最初から体外受精を試してみるのも一つです。私はタイミング法を中断した後、本格的に治療を開始した時は初めから体外受精を選択しました。
まとめ
まず35歳以下で「不妊期間が短く治療経験がない場合」は①〜④のステップで治療を検討し、比較的カラダにも費用も負担の少ない①②を一般的な妊娠確率から半年くらい試してみて、妊娠しないようであれば③以降のステップに進まれるのがいいのではないでしょうか。
私のようにタイミング法にチャレンジした事がある方や年齢などの理由から短期で子どもを授かりたいという方は、初めから③以降の体外受精を選択してしまった方がいいと思います。
体外受精から治療を始めた時の妊娠までのスケジュールや費用については「ところで不妊治療っていくらかかるの?」も参考になればと思います!
費用の負担から治療を断念するケースもあるかと思いますが、2022年より不妊治療も保険適用となり人によっては以前より治療を検討しやすくなりました。
その辺りも上記で記載しているのでぜひご覧ください^ ^